「お兄ちゃんにとって、ボク、やっぱり妹なの?」
「ボク・・・、ずっとず〜と前から、お兄ちゃんのことばかり見ていたんだよ。」
「でもね、兄妹でヘンだってことも分かっているの・・・だから、だからね・・・」
「お兄ちゃんへの想いを消しちゃおうって思ってた・・・だけど」
「10年以上も想い続けてたボクの大切な、凄く大切な想い・・・」
「消せないの・・・消したくないの・・・」
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雪が桜の花弁の様に舞降る月夜。
月光に照らされた菜穂の身体が
白く浮かんでいる。
栗毛の長くて綺麗な髪、
小ぶりだが膨らんだ胸、丸び帯びた腰つき・・・・
妹として接していたため気がつかなかったが、
すっかり女性の身体をしている。
俺を見つめる菜穂の瞳は涙で潤んでいる。
淡く、せつない、飾り気のない想いを
一生懸命告白する。
兄妹の絆への戸惑い、恥ずかしい気持ち、
やっと好きな人に想いを伝えられる嬉しさなど…・
様々な入り混じる感情を胸いっぱいにしながら。
俺は、
涙声で伝えられる自分への想いを聞きながら、
菜穂との今までの関係を振り返っていた。
今までに、
菜穂を女性と意識したことは何度かあった。
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しかし、血の繋がりがない兄妹と言っても幼い頃から本当の兄妹として過ごしてきた訳けだし、
また兄妹同士で恋愛するのは、非常識だと言い聞かせ自分の気持ちを押し殺してきた。
「今のままじゃ・・・兄妹の絆だけじゃ、ダメなんだよね・・・お兄ちゃんとずぅ〜と傍にいられないんだよ」
と刀夜同様に菜穂も様々な感情の葛藤があったことを伝える。
「お兄ちゃんの”妹の菜穂と一緒に部屋を使用する”って言葉を聞いたとき、心が苦しかったよ・・・
切なかったよ・・・
兄妹の絆は、お兄ちゃんの傍にいられる特権だけど・・・
だけど、それは恋人にはなれないと言うことにも
つながるんだって改めて突きつけられて・・・・苦しかった」
「お兄ちゃんが、琴音さんや真央さんと一緒の部屋にならなかったことを・・・
いけないことなんだけど、ホッとしたよ・・・
琴音さん達も大好きだけど・・・
それ以上・・・
ずっと前からお兄ちゃんの事が・・・」
「好き、大好きなの・・・どうしようもないくらい・・・」
合宿到着した夜
突然の菜穂からの告白・・・
その夜、俺と菜穂は”兄妹の絆”から”恋の絆”で結ばれた。 |